アカネ先輩、おめでとうございます！！
マイスターオトメになっちゃうなんて、すっごいです。
尊敬です！！
……あ、アカネ先輩、ひとつ教えて欲しいんです。
あたしのこと、なんだかおかしいってイリーナちゃんが言うんです。
確かにケーキを見ても、のどを通らないなんて……、やっぱりおかしいのかな？
自分でも、大好きなごはんいらないって、天地がひっくり返った感じなんです。
でも、こんな気持ちになったのは、生まれて初めて……。
ヨウコ先生は、神様でも治せない病気って言うんです。
え～～、そんな～～、これって治らないんですか～～～～？！
そんな困ります。
あたし、絶対オトメになるんです、夢をかなえるって……。
これってなんですか？　この胸の苦しさっていったい…。
……こ、恋？、恋ってなんですか？
アカネ先輩は、恋、ってしたことがあるんですか？
え？　その人のことを思うだけで、胸がキュっと痛くなる……？！
え～、どうすれば治るんですか、教えてください！！！！

控えおろう！
我が名を誰と心得る。ヴィントブルーム王家の正統な血を引くマシロ・ブラン・ド・ヴィントブルームとは妾のことじゃ～！
今回は、アリカに変わって妾が予告を務めるのじゃ！　心して聞くが良い！
ムフフ、気持ちいいのぉ～～。
今までアリカのやつに予告を務めさせてたのが、そもそもの間違いなのじゃ。だいたいあやつは…………っと、いかんいかん。思わず本題を忘れるところじゃった。
今日は、ヴィントの国民が、妾のことをどれだけ祝ってくれているか、見てやるのじゃ。
ふむ、お固い大臣たちとのパーティなど、飽きたのじゃ。のお、ミコトもそう思うじゃろ。誕生日には、時間を忘れて遊ぶのもたまにはありじゃな。
うん？　ミコト、そなたが遊んでいる相手はいったい誰じゃ？？？
誰でも良いわ……良し決めた、そなた今日一日妾の相手をつとめよ！！

「ぶみゃぁ～～」

こ、こら～～、ミコト！　お前ではない、大事なところで邪魔をするな～～。

あ・し・た・はマシロちゃんの誕生日。
え～～！！　びっくり、ニナちゃんもあした誕生日なの？？
お祝いしなくちゃね。
って、なんか忘れているような～～～。
れれれ、あたしも誕生日じゃないの、うん忘れていたよ。へへへ……。
さらにびっくり、あたしに、おじさまからリボンの付いたとっても大きな箱が届いたの。
え～～、プレゼントなの？？？？　……ありがとうございます。でも、中身は何だろう？
それはそうとニナちゃんはね。セルゲ……、
え、え～っと、ウォン少佐から、ニナちゃんが、とても大事にしている懐中時計に付ける鎖をプレゼントされたんだよ！
……って、言ってる側からニナちゃんの時計が～～！
へ？　え、え～っ！！！！！
ちょ、ちょっとニナちゃんってば、こんなところでいきなり脱ぎ出さないでよ～～！

いったいここは、どこ～～？
エルスちゃ～ん、大丈夫？　って、呼んでも聞こえないか……。
ん？　あたし、もしかしてはぐれちゃったのかな～～？
あれ？　でもなんかいい気持ち。
う～ん、これは夢なのかな？
おっかしいなぁ～、あたし確か、崖の上を昇ってたはずなんだけど……。

え？　ええっ!?　えっ～～～～！！！！！
ちょ、ちょっと、なんで、なんで、なんでなの～～～～。
あたし……その……なんで、裸なのよ～～～～！！！！！
へ？　い、い、いいいいいいいいいやぁぁぁぁ～～～～っ！！！！！

えっ、と、となりに誰かいる、お、乙女の大ピンチ～～～～。

うわあ～、あたし初めて見るの?!
海だよ！　海！　水着に、海水浴に、立派なホテルに綺麗なビーチ！
も～、ガルデローベのテストって言うから、構えちゃってほ～んと、損したよ～～。
うんうん、こ～んな素敵なところで、泳げるなんて、サイコ―！
あ～、まだ泳げないけど……このテストできっと泳げるようになるんだから！
……って、あれ？？？　ねぇねぇ、エルスちゃん。
こ、この重たそ～な荷物って何かな？
ニナちゃん、え？　背負う？
って、え～～～～、学園長さん！　海とぜ～んぜん関係ないじゃな～～～～い！！！
トホホ……、あたしの海が、ホテルが、砂浜が遠ざかっていくよ～～。
よ～し、こうなったら、前向きに楽しんでやるんだから！
♪えんそーく、えんそーく楽しいな～…………。グスン、グスン……。
うわ～～～～ん、エルスちゃ～ん！

噂以上に、ガルデローべの勉強って難しい！！
毎日毎日一生懸命授業を受けているけど、ほんとに大変なんだよ～～。
もうすぐ試験が近いって言うのに、あたし大丈夫かな？
しかも、二期連続で最下位取っちゃうと、退学なんだって！
エルスちゃん、そんなプレッシャーかけないでよ～～！
そんな勉強しなきゃって時なのに、あたしは舞闘の授業をさぼったせいで罰当番の真っ最中。
その罰当番って言うのが、霊廟のお掃除なんだけど……。
も～～、なんでこんなに広いの～～、いつまでたっても終わらないよ～～、って感じなの。
でも、がんばんないとね。この霊廟はオトメの真祖フミさまが眠っているんだから。
さらに、このなかには、オトメに関する秘密がたくさんあるんだって。
なら、お母さんのこと何か分かるかな。
え？　勉強？　もう、そんなのあとあと！

あたしは、見知らぬ親切なおじ様から、入学金とか授業料とか……とにかく、いろいろ援助してもらえて、何の心配もなく学園生活を楽しめるようになったんだよ。
でもね。やっぱり自分の力で何とかしたいし、だからあたしは少しずつでもお金をためて、いつかおじ様に返そうと思うの。
それで、あたしは休日を利用してアルバイトをはじめることにしたんですっ！
そのアルバイトは、マシロちゃんのお城を直すお仕事。
みんなは、似合うって言ってくれたんだよ。
だけど、マシロちゃんたら、突然「お城を改築するのじゃ！」って言うの！
も～～、ここまでのみんなの苦労が全部水の泡じゃない！！
あたし、我慢できなくて、「そんなことする人なんて王様じゃない」って言ったら、
マシロちゃんは怒って、でもって、大きな瞳から大粒の涙が流れたの……。
なんでもウォンさんが言うには、マシロちゃんは偽者のお姫様って噂があるらしいの。
あちゃ～、あたしとんでもないこと言っちゃったかも～～。